どんこま散歩

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児童養護施設をもっとみんなに知ってほしいブログ

児童養護施設で育ったから気が付いた問題 【無償の愛】が必要

児童養護施設で育ったから気が付くこと

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児童養護施設出身者が抱える問題

児童養護施設で育った方の中にはその境遇を周りに言えなかったり、隠したくはないけど言うタイミングを逃して今に至るなんて人も少なくはないと思う。

正直これに関しては仕方ない部分もある。
と言うよりは環境的にそうなっている気がする。


まだまだ世間の児童養護施設への認知度は低いし、
何より恐いのだ。



何が恐いって?


人を信用すること。



誰を信用していいのかわからない。
また裏切られるんじゃないか。




勿論中には両親との仲が良好な方もいるとは思うが、全体の1割ぐらいであろう。

大半が虐待、蒸発、ネグレクト等が原因で子どもに何かしらの症状が起こった末の入所となる。
逆に言えば子どもに症状が出てから発覚するので、そのトラウマと一生戦うことを余儀なくされる。

その中でも児童養護施設で信頼できる職員との出会いがあったり、運よく里親のもとへ行くことになり里親に恵まれるなど、好条件に恵まれ回避できるケースも無くはない。
結構稀なケースではあると思うが。


問題なのはそのどっちにも恵まれない場合。
社会に出てみるとわかるが、職員も当然一人の人間なのでプライベートがありますよね。
子ども達とずっと一緒にいることはできない。



勿論それは子どもたちもわかっています。



わかってはいるんです・・・
でも試さずにはいられない。

もしかしたら…


だから試す。
でも希望通りには受け入れてはもらえない。


だからいろんな人に
または同じ人に、同じ行動をしては試します。
何度も何度も。


自分が知っている限りの狭い空間の中だけで。


無償の愛を求めて


そもそもは親から頂けるものなのであろう。
【無償の愛】


それがどんな感じなのかが私に一生分かることはないが、一つだけ言えることがある。



探す努力をすることは出来る。




最初にも書いたが児童養護施設出身者は自分の境遇を中々言い出せなかったり、
周りの人へ言いだすのに時間がかかってしまったりする方が多い。

しかしそんな中私は敢えて
児童養護施設出身
と言うようにしている。


理由は
関係ないところから【知ってしまう】より
私から【知らされる】の方がいいからだ。

わかる方にはわかると思うが、
自分から伝えることで、何よりその人がそれを聞いた瞬間の顔が見れる。
それでその人が児童養護施設に対して大体どういうイメージなのか、私をどう受け入れようとしているかが分かる。


そしてその時に私は決まって
「私、児童養護施設出身なんですよ」というようにしている。
そしてその後必ず、
「しってます?児童養護施設って」と話しを続ける。


普通の人が両親の話をするのと同じように話し続ける。(ここでは敢えて普通の人と書く)
私たちにとってそれが当たり前だから。


私たち児童養護施設出身者がその話をするときに躊躇うことで、
なんか言いにくい場所なんだ
児童養護施設っていう話に触れちゃいけないんだよね?
という印象を付けてしまいやすい。

今でもそう思っている方が多いのではないだろうか。
しかしこれは完全なる周知不足で、あえて私たちが言わないように仕向けられていた様な気さえする。
だからあえて自分から伝えて興味を持ってもらっている。



職員の見直ししなくて大丈夫?

未だに児童養護施設で生活しているという理由でいじめがあるそうだ。
児童養護施設での虐待すらもあるという。
時代遅れも甚だしい。

因みに私のいた時代はそんないじめや虐待は普通にあった。


普通にと書いたのはそもそもそれが虐待とされていなかったからだ。
悪いことをすれば「謹慎」

  • 部屋謹慎
  • 施設内謹慎
  • 法人内謹慎

部屋謹慎の場合食事は自室でとり、同部屋の人間との会話さえ制限されることがあった。
今では完全にアウトであろう。
しかしそれが普通のように行われ、皆従っていた。

当時の児童養護施設のおかしな当たり前の一つである。
子どもたちはそれが施設のルールであり、業界全体のルールだと思っていた。
しかしながら当時の職員が誰一人としてそれを止めなかったのには不思議である。

大学や大学院では当然、
児童が悪いことをしたら謹慎にして反省させてください。
なんてことは教えないだろう。

なのになぜそれを不思議に思わず、なんの疑問も持たずに普通に遂行できるのか。
【知らなかったから】以外の何物でもない。


その謹慎ルールはある日突然「げんこつダメです」という発令とともに消えていった。

これも自分が社会人になって色んな職員と話したからわかったことだが、
児童養護施設でしか働いた事がない人が多い。
つい最近まで学生だった方がいきなり子どもたちの世話をしたり、心のケアできますか?
自分の生活でいっぱいいっぱいじゃないですかね・・・
それでいいんですよ。社会人なんて慣れないといけないものですから。


新卒採用で3年以内に辞める確率を聞いたことありますか?
厚生労働省のデータでも出ていますが

  • 高校卒 40%
  • 大学卒 30%

高校卒で職員になる方は少ないかと思いますので、大学卒で話します。
大学卒でも30%が3年以内に辞めています。
勿論児童養護施設でもそれは例外ではありません。
きつさで言ったら体力、メンタルともに上位の児童養護施設職員ですからね・・・


だからこそシステム的に職員の採用は
一般企業で3年以上働いたことのある人としていただきたい。

長年続けている職員ですら難しいのに最近まで学生だった方がいきなり色んな境遇の親から虐待を受けた子どもや、引き離された子どもたちと生活し傷を埋めていけるとは思えない。
※子どもたちと寄り添うことはしてあげられると思います。



入ったばかりの職員がすぐに辞めたらどうなるかわかりますか?


職員の欠員1名



ただそれだけでは済まされないのが児童養護施設の職員。

子どもの生活を見る人、心のケアをする人が一人減るのです。
子ども達からしたら【親代わり】が一人減るんです。

想像してみてください。
両親揃っていても大変といわれる子育て。
それを自分の子ではなく他人の子どもを育てる。
ましてや心に傷を抱え、内にこもりがちになった状態で入所してくる。


そんな大事な仕事。
そんな大事な時期の子どもたちを預かる自覚を持ち、
その覚悟があるのかをちゃんと確認してから採用を決めていますか?


ここばかりは大事なことは今も昔も変わらない。

一人でも多くの子どもたちが普通の生活を送れるように。
その大事な道しるべになれる一人が児童養護施設の職員です。



児童養護施設管理職の皆さん
これからの子どもたちの未来はあなたたちにかかっています。
勿論私たち卒業生もできる限りのことはするつもりです。
しかし子どもたちが持つ児童養護施設のイメージの良し悪しは、ほぼ確実に職員の行動で決まります。

  1. ルールの見直し
  2. 採用の見直し
  3. 担当の見直し
  4. 指導の見直し

今一度お願いいたします。
そして児童養護施設全体で今一度、徹底管理、職員同士でお互いを気にしあうことをしてください。


そして何より町と子どもを繋いであげてください。
必ず将来宝になります。

後述 気が付く問題

書いていて気がついたが、勝手に当り前だと思っていたことが当り前ではない。
習慣とは恐ろしいものだ・・・
次は町で子どもを育てるとどうなるのかを書きます。